少年〜a boy〜

【第五話:a boy】
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この日、少年の目に灯っていた光は、ロウソクの火のようにフッと消えていった


第五話:a boy


僕は、この日、気が優れない笹岡さんを送ってやることにした。
どうしようもない寂しさを抱いて、彼女は少しずつ言葉を失っていった。


「…笹岡さん、大丈夫?」


もうこの言葉にすら彼女は反応しなくなっていた。疲れているのもあるのだろう
、少し眠そうな顔もしていた。

僕が住んでいる町から3キロくらい離れた場所で彼女はピタリと立ち止まった。
そして、あれこれ考えながら歩いていた僕の裾を引っ張り、足を止めた。


「牧田君…今日は、ありがとう。お父さんのお見舞い行けなかったね…。私の家
、ここからすぐだから、もう…いいよ。ホント、ありがとね。」


「でも……わかった。じゃあ、また明日学校でね。」




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